マツキヨ(マツモトキヨシ)のPB「ヒルメナイド」は処方薬である「ヒルドイド」の類似品として人気の高い商品です。
2018年9月に発売された「ヒルメナイド 油性クリーム」は売り切れになる店舗が続出しました。
マルホ株式会社が製造する「ヒルドイド」と同じヘパリン類似物質を含有する商品がマツキヨの「ヒルメナイド 油性クリーム」。
実は「ヒルメナイド 油性クリーム」は厚生労働省によるヒルドイド処方制限の危機から生み出された商品なのです。
医療用保湿剤「ヒルドイド」の処方量が増加
医療用保湿剤である「ヒルドイド」の処方量が大幅に増加していると話題になったのは2017年。
2014年〜2015年度にかけて「ヒルドイド」処方にかかる費用が60億円にものぼることが明らかになりました。
言うまでもなく60億円という医療費は財政圧迫の原因となります。
さらに費用がかかった医療用の「ヒルドイド」が【美容目的】で使用されているということ自体も法令違反です。
爆発的に「ヒルドイド」の処方量が増加した背景には『ヘパリン類似物質を含有するヒルドイドが市販の美容液よりも安くてよく効く保湿剤である。』と解釈できる内容がインターネット上で紹介されたことがあります。
インターネットでの情報を受けて皮膚科には「ヒルドイド」を求める患者(?)が殺到しました。
そもそも処方薬である「ヒルドイド」は医者が患者の治療に必要な薬剤を投与するもの。
処方薬が安価なのは国の保険料で負担しているためです。
「税金で処方代を支払っている状況にも関わらず【美容目的】で処方薬を求めて使用している。」と指摘されたことで大きな話題となりました。
厚生労働省による「ヒルドイド」規制が検討される
「ヒルドイド」の不正使用という状況を受けてヘパリン類似物質の適正使用を巡って議論が巻き起こります。
健康保険組合からは処方の状況によってはヒルドイドだけを処方する場合は[保険適用外]とすべきだと意見も出され、厚生労働省が保険適用外や処方制限などの規制を検討し始めます。
この状況を受けて患者や学会は猛反発。
結果、規制は見送られたものの今後も「ヒルドイド」などの処方には厳しい目を向けられることは明らかで「このままでは本当にヒルドイドなどが必要な患者に薬品が行き届かなくなる。」という懸念が残りました。
ヒルドイド類似商品マツキヨ「ヒルメナイド 油性クリーム」誕生
一連の流れを受けたマツキヨは「医療費圧迫によって処方制限されヘパリン類似物質含有クリームを本当に必要としている患者さんに不利益になってしまう。」と危惧し「ヒルドイド」の類似品開発に着手することになりました。
既存のヘパリン類似物質配合製品は水性クリームだったものの、処方薬の大半が油性クリームであったことからマツキヨはヘパリン類似物質含有の油性クリームの商品開発に至り『ヒルメナイド 油性クリーム』が誕生しました。
2018年9月に誕生した『ヒルメナイド 油性クリーム』は大ヒット。
品切れするマツキヨ店舗が続出しました。
『ヒルメナイド 油性クリーム』の好評を受けて2019年6月には乳液タイプの『ヒルメナイド ローション』が誕生。
夏の乾燥肌対策として大活躍しています。